古代メソポタミアについて知るためのブックリスト

随時更新。めちゃくちゃ見辛いのであとで形体別に整理したりしなかったりするかも……

 

 

 中学生以上の読者が対象。楔形文字とはどのようなものなのか簡単に知ることができる本。付されている50音対応の楔形文字表などを使って自分の名前を楔形文字で書いてみたり、ギルガメシュ叙事詩ハンムラビ法典碑の一部を抜き出したものを読んでみたりすることで、他の楔形文字に関する概説書に比べて楔形文字を「読むこと」「書くこと」に親しむことのできる印象がある。ただし、アッカド語やシュメル語の文法書・教科書ではないので注意が必要。本気で学習したい人へ向けた洋書の辞書・字典・文法書のリストが末尾に載っている。2017年から新装復刊版が出版されている。
 オススメ。古代メソポタミア史を通史的に知りたい場合はこれを読むべし。カラーの図版も多く載っている。時折、通史からそれたトピックも入ってくるが、それもまた良し。メソポタミアの他にマヤやエジプトなどについてもまとめられているため分厚い。
 創世神話、洪水伝説、いわゆる『ギルガメシュ叙事詩』の原型となったギルガメシュ王の物語など、シュメル人が作り出した様々な神話についてまとめられた本。シュメル神話の入門書としておすすめ。多くの場合、神話の原文が直接訳されているわけではなくあらすじでの紹介になっているが、他ではあまり知ることができないであろう作品について学べる。新書なのでしょうがない部分もあるが、参考文献が末尾にまとめて示されているだけなので、記述の元を辿りにくい点がある
 人間が持つ過去に対する関心や記録意識の始まりとその形成・継承、そして歴史的・社会的に見た記憶の意義・機能について検討したリブレット。2章で「エジプトとメソポタミア」を扱っている。「出来事のリスト」、王名表、「アッシリア年代記」、「バビロニア歴代誌」などを取り上げながら、古代オリエント文明が持っていた過去を記述・編纂する文化をたどる。メソポタミアのみを扱った本ではないが他の様々な文明と比較しながら人間が持つ歴史意識について学ぶことができて面白い。リブレットなのでボリュームも価格も抑えめな点もいい。

 絶版。シュメール、アッカド、ウガリト、エジプトの西アジア各地の神話や文学がまとめられている。そのぶん、とても分厚い。有名なエヌマ・エリシュやアダパ物語をはじめとした種々の創作物を日本語で読めるとても貴重な本。アッカド編に含まれるのは、「エヌマ・エリシュ」「ギルガメシュ叙事詩」「アトラ・ハシース物語」「イシュタルの冥界下り」「虫歯の物語」「バビロンの新年祭」「アダパ物語」「ネルガルとエレシュキガル」「ズーの神話」「エタナ物語」「サルゴン伝説」「バビロニアの神義論」「イシュタル賛歌」「エラの神話」「バビロニアの知慧文学」。シュメール(とエジプト)は下に書いたように文庫化されている。アッカド編の文庫化もお願いします筑摩書房さん…

 杉勇訳の『古代オリエント集』(筑摩世界文学大系)からシュメール神話部分だけを抜き出したもの。収録されているのは「人間の創造」「農牧のはじまり」「洪水伝説」「エンキとニンフルサグ」「イナンナの冥界下り」「ギルガメシュとアッガ」「ドゥムジとエンキムドゥ」「ウルの滅亡哀歌」「イナンナ女神の歌」「ババ女神賛歌」「シュルギ王賛歌」「グデアの神殿賛歌」「ダム挽歌」「悪霊に対する呪文」「イナンナ女神に対する「手をあげる」祈祷文」「シュメールの格言と諺」の16篇。訳注解説付き。日本語で原典から訳したシュメル神話を読める数少ない本。
 『ギルガメシュ叙事詩』原典からの日本語訳。現在日本語で読めるギルガメシュ叙事詩の決定版と言っていいと思う。標準版だけでなくバビロニア版とアナトリア版断片まで収録されており、注解も詳しい。絶版になっていて購入できないため、図書館をあたる方がいい。個人的に『ギルガメシュ叙事詩』は他のシュメル神話に比べてもずっとリーダブルで傑出した面白さを持っていると思うので興味を持ったらまずこれを読んでみて欲しい。目次は以下の通り。
【目次】

解説

 1『ギルガメシュ叙事詩』の発見

 2『叙事詩』成立史

 3『叙事詩』の構成と物語技法

 4『叙事詩』の主題をめぐって

 5『叙事詩』の宗教文化史的背景

 6「ギルガメシュ」信仰のひろがり

 7『叙事詩』と旧約聖書

あとがき

 『平山郁夫シルクロード美術館』所蔵のメソポタミアコレクションに解説を加えた本。神像や粘土板文書、円筒印章、金属器、ガラス器、装身具などを通じて古代メソポタミアの文化を紹介する。

 「目には目を~」で一般的に有名なハンムラビ「法典」を原典から翻訳し、注解・解説を付した労作。条文を通してハンムラビが治めた古バビロニア時代の社会・文化を垣間見ることができる。

 最初の一冊としてふさわしいメソポタミア文明の入門書。ジュニア新書とあるようにジュニア向けにわかりやすく簡潔に書かれている。メソポタミアの歴史を通史的にたどるような本ではなく、メソポタミアの歴史と風土から始まり、シュメル都市国家の説明、楔形文字と文書、書記と学校、文学作品についてなどいくつかのトピックに分けて書かれている。現在は絶版になってしまった様子。
  • 中田一郎『ハンムラビ王―法典の制定者』(世界史リブレット人)山川出版社、2014

 ハンムラビ「法典」の中で、戦いに勝利した王、人々に安寧と豊穣をもたらした王、正義の維持者として自身を誇ったハンムラビは実際にはどのような王であったのかについて当時の史料に基いて検討したもの。

 前半ではハンムラビ率いるバビロン第一王朝がメソポタミアを平定するまでの道のりに多くの紙幅が費やされている。特に、上メソポタミア王国崩壊~エラムのエシュヌンナ侵攻~ハンムラビによる統一に至るまでの各国間の勢力均衡とその破れはそれだけでも面白い。

 後半では史料に基づきながら豊穣と正義の維持者としてのハンムラビに迫っていく。ハンムラビと地方総督との間でやり取りされた、不正や土地問題に関する係争を伝える手紙を通して、統治者としてのハンムラビ王の姿をうかがい知ることができる。

 オススメ。古代オリエントの歴史だけに一冊を費やしている。都市文明の成立からアケメネス朝ペルシア時代までの通史を概観することができることに加え、政治・社会・経済・史料など個別の項目も一部付されている。便利なのは、それらの項目で個別的な研究と当時のその動向も示されている点。巻末の文献案内も充実していて有用。コンパクトで参照しやすいのも良い。ただ、教養向けというより研究者になりたいような人に向けて書かれているような印象はあるかもしれない。

 タイトルの通り。シュメール語のことわざを紹介しながら当時の社会に思いをはせたりする本。

 2015年あたりにニュースになった『ギルガメシュ叙事詩』第5書板の新発見文書の日本語訳が載ってる。

 
  ジェレミー・ブラック&アンソニー・グリーン著の"Gods, Demons and Symbols of Ancient Mesopotamia"の一部をを同氏監修のもとで翻訳したもの。古代メソポタミアの人々が生み出した神々、悪霊、サソリ人間や人面獅子のような空想動物、そしてそのような神的存在と繋がるための宗教儀礼を豊富な図版や画像をまじえて紹介する。基本的な神々について網羅されているため、簡単な辞書としても使えて便利。

 古代メソポタミアの中心都市の一つであったバビロン市に焦点を当てた本。簡単なバビロン市の歴史とイシュタル門やエサギラ神殿をはじめとした建築物について概観している。

 楔形文字の一般的な説明、その文字を使用した民族と言葉、文字解読のプロセスなど楔形文字を知るための概説書。楔形文字に興味を持つ読者にとって有益。120ページくらいなのでさらっと読める。